バレーボール世界最高峰プロリーグ・セリエAで活躍する男は今季、ミラノでクラブ、自身ともに初となる3位の座を掴んだ。ハイレベルなパフォーマンスを維持し続けるだけでなく、シーズンを重ねるたびに増す絶大な存在感と安定感。未知の領域へ挑戦し続けるエースが見せた先駆者の矜持とは――。(原題:[バレーボール短期集中連載(4)独占インタビュー]石川祐希「僕は先頭に立ち続けたい」)
石川祐希が初めてイタリアに渡ってから、9度目となるシーズンを終えた。
昨季に続いて進出したプレーオフは、準決勝でペルージャに敗れるも3位決定戦でトレンティーノに勝利した。かつては遠い目標だったトップ3入りを、世界最高峰のセリエAで成し遂げただけでなく、石川にとっても自身最高位でのフィナーレ。クラブ初のチャンピオンズリーグ出場にもつながる3位を決めた最後の1本も、この日スパイク決定率70%という驚異的な活躍を見せた石川だった。
イタリアの9シーズン、「よくやったな」。
昨秋には日本代表の主将としてパリ五輪出場を決めた。直後に開幕した各国リーグでも日本代表選手の活躍は目覚ましく、高橋藍はイタリアのモンツァでプレーオフ進出、ミラノを上回る準優勝という結果を残した。フランスではパリ・バレーの宮浦健人がオポジットとして攻撃の大半を担い、MVPに9度選出される活躍ぶり。20歳の甲斐優斗も同じパリでプレーし、後半は出場機会を増やす中で飛躍的な成長を遂げた。常々「早い段階から海外でプレーしたほうがいい」と推奨する石川は、むしろ当時の自身をも上回る早さで世界へ飛び出す選手が相次ぐ現状をどう見るのか。イタリアでの現地取材で石川に尋ねると、「望ましいこと」と頷きながらも間髪入れずに言った。
「それでも僕が先頭に立っている、という自負はあります。年齢も重ねたからもういいだろう、譲ってもいいだろうみたいな気持ちは全くない。いつまでも先頭を走り続けたい、という思いは常に持っています」
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photograph by Takahisa Hirano