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レギュラーを狙う若虎の「サバイバルレース」…3年目・前川右京がライバルにつけた明確な「差」とは?<岡田彰布監督「淡々とできるやつって…」>
2024/03/28
レギュラー争い最大の激戦区となっている外野の両翼。日本一の野手陣に割って入るべく、5人の若虎は己の武器を必死に磨き、チャンスを掴もうと奮闘する。熾烈なサバイバルレースの行方は果たして――。
「当然、新しい力が必要よ。同じメンバーでは戦えないよ。そこの上積みやな」
阪神が38年ぶりに日本シリーズを制した翌日の昨年11月6日。岡田彰布監督が、大阪市内の阪神電鉄本社でシーズンの終了報告を行った。そこでの大号令。球団史上初のリーグ連覇へ向け、新戦力の出現を第一に挙げた。早くも戦いの火ぶたが切られた。
唯一にして最大の激戦区が外野両翼である。センター近本光司以外、外野のレギュラーは白紙。キャンプイン直前の1月24日、岡田監督は「特に外野はなあ、分からんよ」と競争をあおった。紙面で、ネットで「岡田語録」をチェックした若虎たちの目は、ギラついたに違いない。
岡田監督も認める野口恭佑の「天性の才能」。
レギュラーシーズンで10本塁打を放ち、日本シリーズでは3番を任され新人最多の7打点を挙げた森下翔太も、ポジションを確約されていたわけではない。助っ人のシェルドン・ノイジー、ヨハン・ミエセスも同様だ。そこに、春季キャンプ一軍スタートの前川右京、井上広大、小野寺暖、野口恭佑らが挑む構図ができあがった。日本一の野手陣に割り込むのは誰なのか――。期待感とともに、沖縄・宜野座のスタジアムでしのぎを削る1カ月が始まった。
2月の南国。その序盤の主役は野口だった。フリー打撃でとにかく飛ばす。白球をバットの芯で捕まえた時の弾道は、隣のケージで打つこともあった4番大山悠輔にもひけをとらないほどだった。「最初は軽く構えて、打つ時はドーン! という感じですね」。言葉通り、力感ない始動からインパクトに全てをぶつけるスタイルで、左翼スタンドに放物線を描き続けた。
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photograph by Kiichi Matsumoto