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元スカウトが語る「阪神ドラフト変革」~若虎躍動の理由~

2021/06/25
2020年、母校の近大マグロ像前でポーズを取る佐藤
生え抜きの若虎たちが躍動する新生タイガース。育成成功への転機は'15年秋にあった。

 さすがに覚悟せざるを得なかった。

 まだ肌寒さが残る甲子園。ドラフト5位ルーキーだった青柳晃洋は登板直後の5回表、マウンド上で緊張から顔を引きつらせていた。1球目からボール球が10個続き、球場全体からため息が漏れ続けていた。

「これは代えられちゃうな……」

 統括スカウトを任されていた佐野仙好は今も、そう諦めかけた直後の光景を鮮明に記憶している。3者連続四球から2失点した新人に2イニング目が与えられたのだ。

 落ち着きを取り戻した変則右腕は3者凡退を奪って、笑顔で降板。試合後に金本知憲監督から「結構、力あるよ。一軍も十二分にあり得る」と褒められたと耳にして、また驚いた。2016年3月5日、ロッテとのオープン戦にまつわる思い出だ。

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photograph by KYODO
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