今回は平成の土俵を彩った怪力、優勝5回を誇る魁皇関(現・浅香山親方)を取り上げます。
その凄さは「魁皇が右上手を取ったら勝つ」と、見ている誰もが分かっていたことです。魁皇関が右上手を取った瞬間に、館内があれだけ沸いたのですから。
かくいう私も、魁皇関に右上手を取られてから投げ飛ばされ、体がまるで無重力のように浮き、空中で1回転半した経験があります。
なぜ、そうした状態になったかというと、右上手を取られて小手投げを打たれるときに「これ以上、我慢したら左肘が折れてしまう」と身体が危険信号を発する瞬間があるのです。魁皇関のパワーは、そう感じさせるほどの怪力でした。そこでやむなく肘を守るために、自分から飛んでいくような状態になります。私は魁皇関のおかげで、地上にいながら無重力状態を体験させてもらったわけです(笑)。
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photograph by Takayuki Ino(Illustariton)