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「イチローさん、怒ってるなって」MLBでの“宿命の対決”…松坂大輔が後悔した天才への初球~連載「怪物秘録」第39回~

2024/02/06
大リーグデビュー戦で白星を挙げ、続いての登板機会は本拠地、フェンウェイパークでのマリナーズ戦だった。迎える1人目の打者はもちろんイチロー。待ち望んだ瞬間がついにやってきた。

 2007年4月2日、カンザスシティ。街の郊外にあるロイヤルズの本拠地、カウフマンスタジアムにレッドソックスの選手を乗せたバスが到着した。メジャーでの初先発を3日後に控え、この日の開幕戦に臨んでいた松坂大輔は、車窓から目に飛び込んできたある風景に驚かされた。

◆◆◆

 バスが球場に着いたのがちょうどお昼時だったんですが、駐車場のあちこちでお客さんたちがバーベキューをしてるんです。キャンピングカーやピックアップトラックがズラッと停まっていて、みんなが食べたり飲んだりしている。ああ、こっちではこんなふうにして試合開始までの時間を過ごすんだとビックリしました。ああいう光景は日本では絶対に見ないじゃないですか。いいなぁ、いろんな楽しみ方を知ってるんだなぁと感心したのを覚えています。

 メジャーでのデビュー戦(4月5日)はとにかく寒かった……その前のライオンズでのシーズン、僕、盛岡で投げているんです(2006年4月21日、岩手県営球場でのイーグルス戦)。あのときもめちゃくちゃ寒くて、身体を冷やさないようベンチで焚いていた炭に初めて頼りました。急激に体温が下がる感じがして、じんわり汗をかいている状態を保たなければならなかったんです。カンザスシティも寒いと聞いていたので、ホットパックを腰と肩とヒジに当てて、身体を冷やさないよう意識しました。アメリカではベンチ前のキャッチボールも禁止されていますし、岩手での経験はデビュー戦に活かせたと思います。

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photograph by Kiichi Matsumoto

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