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OB宇賀地強が語る駒澤大学「“勝ちに行って勝つ”が強さの源流」藤田敦史監督の“妥協しない姿勢”と現代に合わせた変化とは?

2023/12/21
'00年代、大八木弘明に師事し、先輩・藤田とも練習をともにしたからこそ分かる、現在の母校の強さの秘密。第100回大会の展望にも迫る。

 私が藤田敦史さんに初めて会ったのは大学1年生の時です。すでに日本トップのマラソンランナーとして活躍していましたが、当時は駒大を拠点に練習されていました。テレビで見るのと同じように厳しさがあって近寄りがたく、気軽に声をかけられない雰囲気がありましたね。コミュニケーションが少しずつ取れるようになったのは私が2年生となり、少し力がついて同じ練習ができるようになってからです。

 ともに練習をし、話をするようになって最も学んだのはジョグの走り方です。陸上長距離で一番時間を割く練習メニューですが、とにかく徹底的にやる姿が印象的でした。普通、ジョグは大学の外に走りに行くことが多いのですが、藤田さんは学内の陸上競技場の内側の人工芝のサッカーコートの中を延々と回り続けるんです。距離にして350mくらいの周回でしょうか。特に強度の高い練習をした翌日の朝練習はそれが多かったと思います。理由は柔らかい路面で足を労ると同時に、ひたすら自分の体と向き合い、状態を確認しながら対話するためです。街の中を走れば距離も稼げますし、景色が変わるので時間が経つのも早いのですが、それを選ばないところが藤田さんのすごさです。私も真似をしましたが、走り出しても「まだ10分しか経っていないのか」と思うほどに時間が長く感じ、単調でした。だからこそ集中力を高めて取り組めば、自分の体を知ることができる。とにかくストイックに目標や自分自身の体から逃げないところが、マラソンランナー、藤田敦史の強さを生んでいると感じました。

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photograph by Kenta Onoguchi

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