長距離を志す高校生ランナーの多くが記録を持つ5000m。実は多くの駅伝関係者がこの距離での伸びを育成力の指標として見ているのをご存知だろうか。青学大の原晋監督は’18年早大院に提出した修士論文で、優勝までのチーム改革における5000mの位置づけをこう明かしている。
「スカウトした学生を確実に成長させることで、各高校指導者や選手からの信頼が得られ『青学大に入学すれば成長する』という流れをつくることがより力のある選手のスカウトが出来ると考え実行した。まずは高校生の走力の基準となる5000mを成長させることにスポットを当てた」
5000mの伸びは成長を如実に示し、優秀な選手獲得に繋がるというわけだ。
今回は4年時に箱根駅伝へエントリーした選手に対象を限定し、大学4年間での5000mのタイムの伸びを各大学ごとに弾き出した。最終年の箱根までの成長ぶりを数値化したため、主力選手や急成長した選手でも4年時の不調などで対象外となった場合がある点にご留意いただきたい。
ランキングを見ていくと、首位は創価大。初出場の’15年以降計3回出場し、4年生はこれまで計9名がエントリー。対象となる母数が他校に比べ少数だが、全員が10秒以上タイムを更新。9名全員の高校と大学のベストを比較すると表にある通り、平均33秒39もタイムを縮めている。これは’17年4区のセルナルド祐慈の存在が大きい。駒大の選手を追い抜く際、右手で背中をポンと押してあげたという心優しいエピソードを持つ’16年度主将の高校ベストは15分32秒03。そこから1分28秒09もタイムを縮め、首位獲得の立役者となった。
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