石川祐希はシンプルだ。
大風呂敷を広げるわけでもなければ、石橋を叩いて渡るわけでもない。
できる、と思えば「できる」と言う。できない、とわかっていたら期待を持たせるようなことは言わない。あえて言葉にする時は、確かな自信がある時だ。
「一度結果を出したら、そこがベースになる。だからこれからは、“メダル”と口にすることも増えると思っています」
世界を見上げることなく、どんな強敵にも「勝てる」と思わせる戦いぶり。今夏のネーションズリーグでも銅メダルを獲得し、8月のアジア選手権も制覇した。
期待値も注目度も高まる中あえて聞いた。男子バレー、強くなりましたか?
「強くなっているのは間違いないと思うし、結果も出るようになってきた。だから自信を持って『強くなっています』とは言えますね。僕たちも面白い、楽しいと思いながらプレーしているし、そこに結果がついてきたので注目もしていただけるようになった。単純に嬉しいです。でも、“いやいやまだまだですよ”という気持ちもあります」
その言葉だけで、ワクワクした。“まだまだ”と言う石川が見る先に広がるのは、どんな景色なのか。これまでも日本代表のエースとして、世界最高峰と言われるイタリアに拠点を置くプロバレーボール選手として、何度も話を聞いた。最初は「試合に出る」と漠然としていた目標が、徐々にスパイクやサーブレシーブでの明確な数字を掲げるようになり、昨シーズンは「ベスト4」を目標と公言した。実際に石川が所属するミラノはリーグ戦、トーナメントのコッパイタリアで共にベスト4進出を成し遂げた。有言実行の人でもある。
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