精緻な技術が求められるものの、決まれば一発大逆転!「50:22」は選手の安全のために改正された新ルールだが、この導入によってピッチ上ではある変化が起きている。
国際的にラグビー選手の大型化が進む。日本は21世紀に入って最初の'03年W杯でメンバー31名の平均身長・体重は182.1cm、92.7kg。対して前回の'19年W杯での31名は183.2cm、101.1kg。1人あたりおよそ1cm、8kgサイズアップした。この傾向に比例して、タックル時の衝撃も大きくなった。ワールドラグビーが調査したところ、試合中に発生した怪我のおよそ50%、脳震盪の76%にタックルが絡んでいるという。
そこで、選手の安全を守るために改正されたルールの一つが50:22。自陣からキックしたボールが相手陣の22mライン内でバウンドしてタッチを割ると、キックした側のボールのラインアウトになる(従来は相手ボールのラインアウト)。この導入によってディフェンスは、後方でキックケアする選手を複数配置しなければならなくなる。前線の人数を減らすことで、タックル回数の減少を目論んだルール改正となった。
50:22の導入によって何が変わったか。元日本代表の大西将太郎が解説する。
「一番変わった点はバックスリーと呼ばれるウィング、フルバックのディフェンスの守備位置。50:22を取られると自陣で相手ラインアウトからリスタートになる。ディフェンスはこれを絶対に避けたいので、必ず後方の両サイドに選手を配置する。ウィング1人とフルバックで守りますが、外のライン際に寄ることで、中央後方に大きくスペースが空くシーンが見られるようになりました。その真ん中のスペースにゴロで転がす、あるいはチョンと浮かすようなキックが増えていますね」
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photograph by Itaru Chiba