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【絶対エースを追いつめた夏②】1998年8月20日<準々決勝:PL学園 VS 横浜・松坂大輔>「PLがあの子に飲まれたんです」

“平成の怪物”松坂大輔が滅多打ちされることを、一体誰が予想していただろうか。
2回裏、PL学園が4本の長短打を集めて3点を先制したとき、甲子園球場にどよめきが走った。大方の予想を覆す展開の中で、バックネット裏で戦況を見つめるPL学園の清水孝悦打撃コーチ(当時)は、自ら立てた「松坂攻略作戦」が図に当たった手応えを感じていた。
「松坂を打たねばならない。松坂を打たなければ日本一はない」
同年春の選抜で対戦して敗れて以来、PL学園はこの言葉をそれこそ呪詛のように唱えながら、猛特訓を積んできた。
清水は、その選抜で初めて松坂を目撃した時のことを、今もありありと覚えている。
「松坂のことは噂には聞いていたんですが、ホンマにそんなにすごいんかなと疑っていたんですよ。ところが試合前日に彼の投球練習を見た瞬間、『これはヤバい』と。腕を振ったと思ったら、もうボールがミットに入ってるんですわ。一緒にいたOBからは『完全試合されんようにせえよ』と言われました」
1番バッターで2年生だった田中一徳も、あの日の“衝撃”を回想する。
「ワンバウンドかと思うようなストレートが真ん中に来る。逆にど真ん中のストレートだと思ってバットを振ったら、左膝にボールが当たる。スライダーが曲がってきたんです。今までに見たこともないキレでしたね」
松坂対策の総仕上げとなったのが、横浜との対戦前日に学校で行なわれた打撃練習だった。清水が振り返る。
「2年生の投手をホームから8mの至近距離に立たせて、ストレートと変化球を混ぜて全力で投げさせたんです」
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