観るものを虜にする高橋大輔の演技を支えている、13人のスペシャリストたち。悲願の五輪金メダルを目指して戦うチームの全貌に迫った。(初出:Number822号[集結した13人の叡智]「チーム高橋」金メダルへの戦略。)
2012年12月22日。札幌市真駒内のリンクで見せた高橋大輔の滑りに、観客はスタンディングオベーションで応えた。神がかり的とでも言うべき、鬼気迫る演技に、誰もが魅了されずにはいられなかった。
その中に、ひときわ強い眼差しを注いでいた人々がいた。ある者は実況席で賞賛を送り、ある者は感動のあまり涙を流した。またある者は、リンクで起こっていた出来事を知り、ショックに打ちひしがれた。反応はそれぞれに違っても、共通するのは、自分が情熱を傾けてサポートしている選手への強い愛情だった。「チーム高橋」の人々である。
個人競技とは対照的な、わけてもフィギュアスケートでは異色の“チーム”という形態はどのように築かれたのか。そして彼らは高橋の演技をどう支えているのか。
「D1SK」の銀色のチームロゴ
大阪府の高槻駅から車で15分ほど行くと、緑に囲まれた山の中に、建物の群れが見えてくる。グラウンドのかたわらにある、白い箱状の施設が関西大学アイスアリーナだ。
「チーム高橋」のスタッフはこのアリーナを拠点に活動している。おそろいのジャケットやTシャツに描かれた「D1SK」の銀色のチームロゴ。大輔の英語の綴りに、一番の1をあしらったものだ。
名前が示すとおり、高橋をサポートする目的で作られたチームは、振り付け師などシーズンごとに多少の入れ替わりはあっても、中心を織り成す人々は変わらずに構成されている。今シーズンは、中学2年のときから高橋を指導してきたコーチの長光歌子をはじめ、トレーナー、アドバイザー、栄養士、衣装、靴の職人など13名が名を連ねる。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Takao Fujita