躍動感、情熱、そして全身から溢れる感情。彼の演技は多くの観客を虜にするが、リンク外の素顔は氷上の姿と印象を異にする。ソチ五輪に向けて進化し続ける日本のエースの、知られざる一面と奥深き胸の内に迫った。(初出:Number822号 高橋大輔[独占インタビュー]「まだ見ぬ 自分に出会う旅」)
「3年計画なんて言ってるけど、実際は何も計画してないんですよ。“3年間が1シーズン”って考えてるだけ。目標はあまり想定していません。どこまで成長できるかは自分でも分からないし、五輪の切符を取ってソチで滑った時に、'11年の世界選手権と比べて『ああ、こんなに成長したんだ、やりきった』って思えたらいいんです。でも、こうやって3年間って考えるようになったことで、試合や練習への考え方が変わりましたね」
日本男子エースの看板を7年以上背負ってきた高橋大輔。バンクーバー五輪で銅メダルを獲得した後、引退覚悟の'11年世界選手権で靴のトラブルに見舞われて5位に終わると、ソチ五輪を目指すことを宣言した。
すると昨季は世界選手権で銀メダル、今季はGPファイナルで悲願の日本男子初優勝を果たすなど、フィギュアスケーターとしてはベテランと言われる20代後半になったいまでも、進化を続けているのだ。
今はちょうど「3年計画」の折り返し地点に辿りついたことになる。
「3年間あるんだ、と考えたら色々なことに余裕が出てきたんです。今までは1シーズンで成果を出そうと思い、焦ってた。1年目は出来なくても、2年後、3年後に出来るかもと考えることで、練習でも試合でも焦らなくなりました。『今は出来なくても次のために』、という余裕が生まれて、それを繰り返していくうちに試合でも成績が出てきて……。ああ、こういうやりかたが大事なんだなって、今になって気づいている状況なんです」
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photograph by Katsumi Omori