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[世界女王が語る]坂本花織「“5位”なんて私らしくない」

北京五輪で銅メダル、続く世界選手権でも優勝。キャリア最高の1年を終えて臨んだ今季は一転、自分のスケートに危機感を覚えるほど苦しんだ。栄冠と失意を味わったシーズンを自ら振り返る。

 男女を通じて日本史上初の世界選手権連覇。だが、そこに至る道のりは順風満帆ではなかった。

 2021-'22シーズンは「坂本花織はミスをしない」と言われるほど高い精度を誇る演技を披露。北京五輪銅メダル、世界選手権金メダルを獲得し、キャリア最高の1年を過ごすことができた。

 ただ、迎えた今シーズンは前半、不安定な面を見せた。理由は自覚していた。

「燃え尽きている部分があるのは分かっていました」

 4年に一度の大舞台へ注いだエネルギーを思えば、それは自然なことでもあった。

「ただ、それを口に出して言ってしまうと、どんどんマイナスの方に引っ張られてしまうなって思って、自分は燃え尽きてない、頑張ります、と言い続けていました」

 そんな状況でも、大会に出場すれば優勝候補として期待を集める。そのギャップも感じていた。

「自分はここまでしかできないと分かっていて……それを(周りから)予想してもらっている位置と照らし合わせたとき、たぶん期待には応えられないだろうと思ってしまうのが辛かったですね。いざ試合をやってもできないものはできないし、精神的にもネガティブになっていたので、持ち前の明るさはどこ行ったのかな、っていう感じでした」

自分に負けているのが私らしくない

 それでもスケートアメリカで優勝、NHK杯でも2位と結果は残していったが、遂に大きな転機が訪れた。昨年12月に出場した、トリノでのグランプリファイナル。ショートプログラムで首位に立ったがフリーでミスが相次ぎ、出場した6名の中で5位にとどまったのだ。

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photograph by Shino Seki
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