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和田毅――最後の松坂世代が振り返るスーパースターとの初対決。

2023/04/04
第一線で活躍するアスリートは、敗戦から何を学ぶのか――。最後の松坂世代、いまだマウンドで躍動し続ける42歳の左腕が挙げたのは、憧れのスーパースターとの初対決だった。

【Defeated Game】
2004年4月16日 パ・リーグ 4回戦
西武 1-0 ダイエー 勝 松坂(2勝2敗) 敗 和田(1勝1敗)

   ◇

 1980年度生まれの「松坂世代」もNPB球団でプレーするのは、福岡ソフトバンクホークスの和田毅ただひとりだ。彼は退化どころか今なお進化し続けている。昨シーズンもローテーションの一角を守り、41歳にして自己最速となる149kmを叩き出した。防御率は、規定投球回数に届いていないとはいえ2年ぶりに2点台をマーク。今シーズンにおいてもV奪回を至上命令とするチームから頼りにされることは言うまでもない。

 彼が心に刻む「珠玉の1敗」は、プロ2年目の2004年4月16日、西武ライオンズ(西武ドーム)戦。同学年ながら憧れた松坂大輔との初めての直接対決である。

「スコアボードに僕と大輔の名前が一緒に入っているのを見てとても不思議な気持ちになりました。自分はずっと大輔をテレビで観ている側だったわけなので」

 かたや夏の甲子園ベスト8ながら無名に近い存在、かたや高校野球のスーパースター。マウンドでのしぐさからプレートの掃き方までそっくり真似をして、甲子園では敬語で話しかけてツーショット写真を撮ったというエピソードはあまりに有名だ。

 横浜高から西武に入団して3年連続の最多勝投手となった“平成の怪物”に対し、和田は4年遅れて早大からプロの世界に飛び込み、ルーキーイヤーの'03年に新人王を獲得して日本シリーズでは完投勝利で胴上げ投手となった。シーズン後のアジア野球選手権で松坂と一緒になり、敬語はようやくタメ語に変わった。距離は縮まったとしても、ライバルという感覚など一切持てていない。そんな時期に初めて投げ合う機会がやっと訪れたのだった。

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photograph by JIJI PRESS

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