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富樫勇樹――ファイナルで負けて決めたアメリカ再挑戦。

'14年、琉球とのファイナル。体格差を物ともせず突破を試みる
第一線で活躍するアスリートは、敗戦から何を学ぶのか――。日本バスケ界最高のポイントガードが転機として挙げたのはプロとして初めて経験する、日本一を懸けた大一番だった。

【Defeated Game】
2014年5月25日 bjリーグ プレイオフ ファイナル
琉球ゴールデンキングス 103-89 秋田ノーザンハピネッツ

   ◇

 日本人初の1億円Bリーガー、富樫勇樹がまだトッププレーヤーに駆け上がる前のこと。彼が「珠玉の1敗」に挙げたのは、“富樫の日”になるとも思われた秋田ノーザンハピネッツ時代の2013-'14年シーズン、琉球ゴールデンキングスとのbjリーグプレイオフファイナル(5月25日、東京・有明コロシアム)であった。

 アメリカ留学から帰国した前年度は、シーズン途中加入ながら新人賞を獲得。飛躍を期したプロ2年目、20歳の超攻撃PGはチームの主軸となってフル回転で働き、プレイオフでもイースタン・カンファレンスファイナルを制し、琉球との大一番に臨もうとしていた。

「プロになって初めての大舞台でした。当時はbjとNBLにリーグが分かれていて、NBLの選手まで有明のbjファイナルは凄く雰囲気がいいと言っていたようで、1万人が集まったあのコートに初めて立てて、とてもうれしかった記憶がありますね」

 異様な熱気に包まれた会場は、試合開始早々から沸騰する。

 琉球のPG、岸本隆一が3ポイントシュートを決めると、すぐさま富樫が3点を取り返して応戦する。相手がつかもうとした最初の流れを逆に吸い取り、ドリブルで抜き去ってシュートを決めるなど、キレッキレのパフォーマンスを見せていく。

「(3ポイントを)やられたからやり返したとか、そういうわけじゃない。シーズン中からあのような場面では打っていました。ただタッチの感触を含めて、自分の調子が凄くいいなと感じてはいました」

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photograph by AFLO

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