Jリーグから2019年のクラブごとの決算データが出た。人件費とチームの成績との関係が興味深いので、くわしく見てみよう。チーム人件費というのがJリーグの説明に出てくる用語だが、より分かりやすくする意味で年俸総額という用語を用いて書いていくことにしよう。
Jリーグでは、すでによく知られていることだが、ヴィッセル神戸がずば抜けた年俸総額になっている。アンドレス・イニエスタと契約したことをきっかけに、チームとしての年俸総額では、2番目以下のチームとは違う相場で契約していると言える。
神戸は69億2300万円で、2番目の名古屋グランパスは39億7300万円だから、29億5000万円という開きがある。3番目の浦和レッズが32億2800万円で、2番目の名古屋との開きは7億4500万円だから、神戸がいかにとび抜けているかは明らかだ。30億円以上というのは神戸、名古屋、浦和の3チームだけだ。だが'19年のJリーグにおける成績を見ると、神戸が8位、名古屋が13位、浦和が14位だった。お金をかけたチームが、リーグ戦では成績を挙げられなかったわけだ。30億円以上のチームがいずれもAFCチャンピオンズリーグのプレーオフに出場できる3位以内になっていないという事実から、Jリーグにおいて、プレーヤーとの契約にお金をかけることが、優勝を狙えるチームを作ることに、簡単にはつながらないのだと分かる。
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