兄が始めて、弟がそれに続く。今どき「兄弟ボクサー」は珍しくもなんともない。暮れには井上拓真が勝ち、暫定ながら兄・尚弥とともに兄弟世界王者の夢を実現させたばかりだ。亀田三兄弟や田中恒成・亮明もいる。
一方でこんなことも起きる。拓真の6日前、長崎での全日本女子選手権大会(アマチュア)シニアのL・フライ級決勝のリングサイドは緊迫ムードが漂っていた。仲田幸都子(さとこ)と輪幸(りさ)の姉妹がこの階級の女王の座を賭けて直接対決したからだ。全国大会決勝での姉妹対決は今回が初めて。男子でも過去に例がない。
プロでは公式戦で兄弟姉妹の対決は禁止されている。馴れ合いを恐れてではなく、真剣にやりすぎて残酷な殴り合いになることを避けたいからだ。四半世紀前('93年)の日本ストロー級王座決定戦で江口九州男(くすお)と勝昭の兄弟が戦い、これがなんとも凄惨な殴り合いとなり、以来肉親対決は禁止となったのである。
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photograph by Makoto Maeda