31年前、ラグビーの名将、大西鐵之祐は、大学教授としての最終講義、次の例を挙げながら、スポーツと知性的行動について述べた。
「ああ、あれは野球ばっかりやっとるんやな。あれはパーや。すぐそういうことを言うんです」
そして続けた。
「これがいちばんしゃくにさわるんです。実際には、スポーツはパーじゃできんのです」
取材のために講堂の隅で聴きながら小膝を打った。
頭のよい人間がスポーツをするのではない。スポーツそのもの、そこにおいて勝負を究めようとすれば、行動は知性的であらざるをえない。スポーツはスポーツとしてインテリジェンスを問い、磨きもする……。あの日以来、そんなふうに解釈して自分なりに生きてきた。スポーツは、よき指導者がそこにいれば教育にもなるのだが、本来、ただスポーツである。スポーツの知性とはスポーツならではの知性である、と。
特製トートバッグ付き!
「雑誌プラン」にご加入いただくと、全員にNumber特製トートバッグをプレゼント。
※送付はお申し込み翌月の中旬を予定しています
photograph by Hideki Sugiyama