一流のアスリートは、「勇気の心理学」と言うべきものを身につけている。もちろん彼らは強靭な肉体や、天才的なテクニックや、圧倒的なパワーを備えている。だが、真に彼らを一流たらしめているのは彼らの勇気だ。原因を他者のせいにしない勇気、自分の課題だけに集中する勇気、ライバルでなく自分自身と戦う勇気。それは一部の天才の専有物ではない。天賦の才能を持たずとも誰もが学べるのが勇気なのだ。ここでは3人のトップアスリートの生きる姿勢を通して、勇気が実践される様を見てみたい。
Number925号より本田圭佑選手の記事を公開します。
Number925号より本田圭佑選手の記事を公開します。
本田圭佑が確固たる己の考えと勇気を持ち、自己を主張できるアスリートだということは周知の事実だ。しかし苦境にあるように思える今、彼の言動を子細に見ると、唯我独尊的なパブリックイメージとも少し異なる、実にアドラー的な要素があることに驚かされる。起用されない原因を他者に求めず、あくまで自分がどう努力すべきかという目的論に沿った思考。そして、自己の状況を受け入れたうえで、仲間にどう貢献するかという共同体感覚。我々がこの不屈の男に学ぶベきことは、いまだ多い。
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サッカーは非情なスポーツだ。交代枠は3つのみで、90分の中で最大14人しか出場できない。それゆえにベンチの選手は「新しく来た監督のせいで出られない」と考えがちだ。
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photograph by Kenzaburo Matsuoka