引退した老教授が70歳を過ぎて半自伝小説を書き上げた。20世紀初頭、大きなマスの棲む渓流が合流するモンタナ州西部で牧師の父からフライ・フィッシングを教えられた兄弟の物語といったらいいか。釣りは名人級だが、酒、賭博、喧嘩に明け暮れ不慮の死を遂げた弟の思い出を兄が語る。複数の出版社が出版を断った。ある出版社の拒否理由は、“兄弟と釣りの話にまとまりが欠ける”。本書を「スポーツ本トップ100」の11位としたスポーツ・イラストレイテッド誌は、その判断を「木を観て森を見逃した」とした。兄弟の絆の話というより、本書の半分近くを費やして繰り返し詳述されるフライ・フィッシングを通して自然と共にある人間を描いたアウトドア文学と読み取ったからだろう。
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