かつて球界の際立つジャイアントであったジャイアンツ。日本の最も成熟したプロ競技の中心的球団が、専任コーチ経験のない人物を現役引退と同時に新監督にすえる。
常識では考えづらい。だが球界にあっては不思議でもない。巨人には長嶋茂雄の同様の例がある。それは「スポーツの筋」とは別の場所の「プロ野球の筋」である。
高橋由伸。ひたむきに練習のバットを振る努力の人だった。なのに、つい「天才」とくくられたのは、整った顔立ちに加え、神宮をわかせた慶應義塾大学主将の経歴も無縁ではあるまい。
元担当記者に人物評を聞いた。
「まっすぐな性格。苦労して表情も言動も柔らかくなった」。太陽の子は、逆指名会見の不可解な涙でプロ生活を始めた。負傷にも泣いた。称賛ばかりでなく悲しみも知っている。きっと、よい指導者になる。
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photograph by KYODO