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<新時代を占う3つのキーワード> 風間八宏解説「ドリブル力の台頭、ボランチ消失、ペップイズムの進化」

2014/08/29
少しずつ起き始めていた戦術の変化は、W杯を経て決定的になった。ひとつの手法ではなく、幾つも答えが考えられる「戦術戦国時代」へ。現場でクラブを指揮する指揮官が、今季の“戦術新潮流”を解説。

 バルサ的価値観の崩壊が引き金となり、戦術面においてもヨーロッパは戦国時代に突入しようとしている。

 ここ数年、欧州ではバルセロナが栄華を極め、ショートパスを主体としたポゼッションサッカーが唯一無二の正解だと思われてきた。だが、主力の年齢的な衰えによってバルサモデルは崩れ、昨季のCLの頂点に立ったのは高速カウンターを武器にしたレアル・マドリーだった。さらにブラジルW杯では、南米勢が個人技で崩すサッカーで大会を盛り上げた。

 ブラジルW杯後、戦術はどこに向かって行くのか? 川崎フロンターレを率いる風間八宏監督に話を聞くと、3つの新潮流が浮かび上がってきた。

シャビらの衰えでバルサスタイルが徹底されなくなった。

<1. ドリブル力の台頭>

 みなさん「攻撃的」と聞いて、どんなサッカーをイメージするでしょうか? 長い時間ボールを持つと考える人もいれば、相手からボールを奪うことを攻撃的と考える人もいるでしょう。そのどれもが正解で、要は「ゴールを取る明確な手段を持っているか」ということだと思います。

 一時期はバルサが本当にボールを奪われず、「サッカーはミスのスポーツ」という常識を覆しました。そのインパクトが強烈だったので、ポゼッションという言葉が一人歩きしたんだと思います。

 ただし、あの質を維持するのは簡単ではない。シャビら中心選手の衰えと同時に、彼らに代わる若手がそう簡単には現れないという難しさがあると思います。全盛期のバルサは相手を完全に崩し切っていたから、敵もすぐにはカウンターには移れませんでした。けれど今は完全に攻めきることができないので、簡単に速攻を受けてしまう。彼らは「武器」と「スタイル」がはっきりしていたけれど、今はスタイルが徹底されなくなってしまった。

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photograph by Getty Images

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