アメリカにはボクシング小説の伝統がある。本書の著者は新聞のインタビューで「ボクシングは人生の暗喩、縮図と言うが、人生こそがボクシングの縮図だ」と言った。ごく少数の勝者が名誉も金も総取りし、それに伴う権力までも握る格差社会。ボクシング界そのまま、と言うのだ。だからこそ多くの作家がボクシングを書き続けた。
本書は、100年前のジャック・ロンドンからアーネスト・ヘミングウェイを経てノーマン・メイラーと続くボクシング文学の伝統に連なる作品。短編が5編、中編が1編、リングに命を賭け、社会の底辺から這い上がろうとするボクサーとトレーナー、カットマン(止血係)、プロモーター達の血と汗と欲望と、そして挫折の世界をクールな眼差しと力強い筆致とで描き切った。
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