活躍し続ける乾貴士。意表を突くプレーでファンを
魅了する天才がブンデスのライバル達の技術を解説する。
派手なドリブル突破や、ゴールに吸い込まれるような柔らかいシュートは、間違いなく乾貴士の持ち味だ。だが、この小柄な技術屋が他の選手と最も異なるのは、トラップという“基本技術”で観客を魅了できることではないだろうか。
昨季、第3節のハンブルガーSV戦で浮き球を足の甲で受け止め、その流れからゴールを決めると、フランクフルトのフェー監督は「あんなトラップ、見たことがない」と絶賛。今年2月の日本代表のラトビア戦では、DFからのロングパスを右足でキャッチし、「神トラップ」として話題になった。今オフのTV出演時には、内田篤人から「日本代表で一番うまいのはコイツ」と紹介された。
速いわけでも、強いわけでもない。純粋なうまさで勝負する異能の選手だ。
このフットボールセンスの塊のような乾から見ると、ブンデスリーガで“うまい”のは誰なのだろう?
乾はゆっくりと考えてから言った。
「リベリー、ロッベン、ゲッツェ、ロイス。あのへんはみんなうまいですよね。ただ、あえて好きなタイプをあげると、マキシムかなぁ」
シュツットガルトのマキシムが秀でるボールタッチの「吸引力」。
マキシム――と聞いて、すぐにシュツットガルトのルーマニア代表MFとわかる人は、かなりのブンデス通だろう。エスパニョールのユース出身で、今年1月にシュツットガルトに移籍した23歳だ。
「ボールを持ったときのタッチがいいんですよね。仕掛けたときもそうやし。めっちゃうまい。昨季の途中にいきなり現れて、すごく印象に残ってます」
マキシムのボールタッチの特徴は「吸引力」。磁石が付いているかのようで、ボールが離れそうになっても柔軟な足首で引き戻し、混戦から簡単に抜け出すことができる。
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