CLもある。それでも新天地を選択したのはなぜか。
首都のチームで充実の時を迎える男が真相を語った。
ドイツ杯1回戦ノイミュンスター戦の試合前のこと。試合会場に到着しチームバスを降りた。細貝萌は、我々日本人報道陣の姿を見つけると笑顔で話しかけてきた。
「スタジアムで報道陣と笑顔でやりとりすることはなかなか難しい」と言い切り、固い表情でいることの多い細貝にしては珍しいことだ。時間にしたらほんの10秒足らずではあった。それでも、ささやかだけど明らかな変化に見えた。新天地での充実ぶりが、窺えるような気がした。
細貝はこの夏、ブンデスリーガ移籍4季目ながら早くも3チーム目への移籍を果たした。昨季所属したレバークーゼンが今季は欧州チャンピオンズリーグに出場するにも関わらず、敢えて新天地を求めた理由はボランチでの出場機会を望んだからだった。レバークーゼンでは左サイドバックでの戦力として計算されており今季も残留を請われたが、細貝自身のプライオリティはCLよりもボランチでのプレーだったのだ。移籍先には、今季1部に昇格したばかりのヘルタ・ベルリンを“選択”した。
「ヘルタからのオファーが来たのは昨季の残り2、3試合くらいになってからでした。でも実はフランクフルトからもっと前に話がきていて、自分の代理人と一緒にフランクフルトのスポーツディレクターとフェー監督に会ったんですよ。監督自らが会いたいって言ってくれたので」
ボランチ起用、EL出場権……フランクフルトも魅力的だったが。
1986年6月10日、群馬県生まれ。前橋育英高卒。'05年浦和に入団。'11年レバークーゼンと契約を結び、アウクスブルクにレンタル移籍。2年目はクラブの1部残留に貢献。'12年レバークーゼンに復帰。今季ヘルタ・ベルリンに移籍した。6月のコンフェデは2試合に出場。177cm、69kg。
フランクフルトの誘いは熱心かつ具体的だった。
「面白いものがあるんですよ」
細貝は携帯電話を取り出し長文のテキストメールを見せてくれた。「どうやって連絡先を入手したのかはわからないがある日突然来た」という、フランクフルトのスポーツディレクターからの直々のメッセージだった。
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