「バンクーバー五輪の時よりも質がいいトリプルアクセルでした」
大阪で行なわれた四大陸選手権のショートプログラムで、浅田真央は2年ぶりの大技を成功すると自身のジャンプをこう分析した。
これは単なる喜びのコメントではない。現役女子唯一の大技を、成功どころか、さらに質を上げるという、孤高な戦いへの勝利宣言だった。
「バンクーバーの頃はジャンプを見失いかけて凄く悩んでいました。トリプルアクセルは、深くしゃがんで“待って”から跳んでいて、子供の頃のように軽々と跳んでいなかった」
ジャンプの崩れを感じながらも五輪で銀メダルを獲得すると、すぐにジャンプ改造に着手。基礎技術のコーチングに定評がある佐藤信夫コーチに師事し、時間をかけてゼロからやり直すことを決意した。
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photograph by Asami Enomoto