#762
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<マラドーナ後の世界> アルゼンチン 「加速するメッシ絶対主義」

2010/09/27
9月7日、メッシの先制点から始まる猛攻の末、王者・スペインを4-1で撃破
良くも悪くも人目を引く、破天荒極まる指揮官は、
またもや大騒動を巻き起こしつつ、チームを去った。
その後、暫定監督を任された男の手腕と評判は――。

「グロンドーナには嘘をつかれ、ビラルドには裏切られた」

 7月28日、一時は続投でほぼ決定と思われていたディエゴ・マラドーナがAFA(アルゼンチンサッカー協会)と“喧嘩別れ”、スキャンダラスな発言を残し、代表監督の座を去った。就任以来、わずか1年8カ月後の出来事だった。

 マラドーナに言葉の刃を向けられたのは、グロンドーナAFA会長とビラルド代表ゼネラル・マネージャー。その後しばらくは、この2人とマラドーナの間で弁明と非難の応酬が続くことになった。

「言い合いをしてもアルゼンチンサッカーのためにならない。早々に問題を解決して次のステップに進むことが望ましい」

 キャプテンのハビエル・マスチェラーノは、ピッチ外でのトラブルについて深く言及することを避けたが、フアン・セバスティアン・ベロンは問題を敢えて強調。「AFAには変化が必要。今の時代を理解できる若いリーダーたちが先導しなければならない」と語ることで、30年も続いているグロンドーナ政権の終焉を促した。また、カルロス・テベスに至っては「グロンドーナは約束を守らなかった」としてマラドーナを擁護しただけでなく、「AFAの幹部はいつだって中途半端だ」と非難。国民からの支持が高いテベスだけに、一時はAFAに対する反感が世間一般に広まることが懸念された。

メッシから絶大な信頼を寄せられるセルヒオ・バティスタ。

 ところが、サッカーファンの興味が8月初旬に開幕したリーグ戦に一気に流れ、また8月11日に行なわれたアイルランド代表との親善試合を勝つと、AFAを取り巻く騒動は自然に鎮静化する。暫定監督として代表を指導するセルヒオ・バティスタは、吹き荒れた嵐のあとをマイペースで歩んでいる。

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photograph by AFLO

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