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新人王候補の澤村、斎藤に負けない!
阪神の左腕・藤原正典、2年目の覚悟。
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2011/03/16 10:30
リリースポイントの見えにくい投球フォームと、切れ味鋭いストレートを誇る藤原正典。他にもスライダーやフォークを操る
藤原の持ち味は球の出どころが見えにくい投球フォーム。
キャンプ中に行われた初の対外試合となったヤクルト戦では、松井淳、武内晋一、川端慎吾を三者連続三振。レギュラーではないとはいえ、売り出し中の3人の左打者を圧倒したピッチングは、まさに、「左キラー」としての存在価値を知らしめる快投だった。
彼の持ち味は、球の出どころが見えにくい投球フォームから繰り出す、切れのあるストレートと2種類のスライダーである。
コントロールが乱れることはなく、大学時代に146キロを誇ったストレートは、球速というより、見え難さと切れで打者を圧倒している。圧巻のヤクルト戦後の対外試合でも、3試合に投げて無失点で3三振を記録している。ワンポイント限定登板をこなすなど、「左キラー」としての試運転も上々である。
「オープン戦は投げるイニングがほぼ決まっているので、自分のペースでできるのが良い結果を生んでいる」と好調ぶりを分析している藤原は、その背景に「流れができていること」を実感しているという。
キャンプのメニューを完璧にこなしたことが自信に!
もともと、大学時代から投げ込みを多くすることで調子を上げてきた藤原にとって、キャンプを完走できたことが何より大きい。
「今年はキャンプからしっかり投げ込めた」と本人が話すように、故障が癒え、フルメニューを全力でこなせたことが、身体の切れを生みだし、肩をベストな状態へと導いている。
今ではキャンプからの流れをしっかりと維持し、開幕を控えて自らの状況を客観的に捉えられる余裕まで出てきた。
「去年はキャンプで故障したんでオープン戦は全く投げることができなかった。故障が治ってから一軍に上がりましたけど、その時には公式戦だったので、気持ちに余裕がありませんでした。例えば、試合で4つの課題があるとして、その1つができないと、もういっぱい、いっぱいになっていた。それが今では、1つ2つできていなくても慌てることがなくなった。自分の登板までの流れがしっかりできているんで、余裕を持ってマウンドに立てるんです。オープン戦を経験できていることは、僕にとっては大きい」