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<どん底からの復活劇>今岡誠「蘇った自信」
text by
阿部珠樹Tamaki Abe
photograph byTamon Matsuzono
posted2011/03/17 06:00
阪神時代、栄光に包まれた天才打者は、打撃不振に陥り、引退の危機を迎える。
だが、新天地のロッテで復活を遂げ、新たな栄冠をつかみ取った。
苦悩と歓喜、両方を経験した昨シーズンの戦いを振り返る。
だが、新天地のロッテで復活を遂げ、新たな栄冠をつかみ取った。
苦悩と歓喜、両方を経験した昨シーズンの戦いを振り返る。
大事な試合の4回だった。安打で出た今岡誠はタイムリーで生還するとき、ヘッドスライディングでホームに滑り込んだ。立ち上がると泥も払わずガッツポーズを見せた。物静かなベテランの思いがけない激しさにチームメイトは強く心を動かされた。その試合、落としたら4位で終わる最終戦を制したマリーンズは一直線に日本一まで駆け上がった。
「あれは全く自然に出たプレーですね。チームに勢いをつけようと意識したかって? いやいや、そこまでの余裕はなかったですよ。でも、貴重な追加点になったし、よかったですね」
ヘッドスライディングの背景をたずねると、少し照れながら振り返った。日本一になったシーズンのオフというせいだろうか、表情にはかすかに余裕が感じられる。1年前はそうではなかった。
「'09年のシーズンのあと、タイガースから戦力外通告を受けて、トライアウトに参加しました。そこでも声がかからず、何とか2月にマリーンズのテストを受けさせてもらえることになった。合格したのがキャンプ3日目の2月3日。戦力外通告のあと、打撃練習をしなかった日は1日もなかったですね」
ひたすらバットを振りつづけた前の年のオフに対して、今年はほとんどバットを持たずに過ごした。もちろん、サボったわけではない。