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浅田真央、安藤美姫、村上佳菜子……
世界選手権で表彰台独占を目指せ!
text by
宇都宮直子Naoko Utsunomiya
photograph byKYODO
posted2011/03/14 10:30
全日本フィギュアスケート選手権大会で女子SPの演技後にガッツポーズを見せた浅田真央。シーズンが進むにつれジャンプの調整にも手応えを感じ始めているようで、確実に復調している
2007年に、東京で行われた世界フィギュアスケート選手権はとてもいい大会だった。安藤美姫が優勝し、浅田真央が銀メダルを獲得した、あの大会だ。
素晴らしかったのは、選手だけではない。観衆も素晴らしかった。国籍に関係なく、リンクを拍手と歓声で包む。日本は選手をとても温かく迎える国だ。私は「2007年・東京」を誇りに思う。そして、同じ地で行われる、4年ぶりの世界選手権「2011年・東京」を歓迎する。
「日本勢が優勝する」という夢を見たくなる舞台・東京。
3月21日から行われる今年の大会は、過去にも増して熱い闘いが繰り広げられるだろう。男女シングルに、日本は最強の布陣で臨む。
注目を集める女子は、浅田、安藤の両エースに加え、2009-2010年世界ジュニアチャンピオン、村上佳菜子が初参戦する。
浅田は現世界チャンピオンであり、安藤は今シーズンの全日本チャンピオンである。また、村上はシニアデビューの今季、グランプリファイナルに進出し、安藤らを抑え日本人最上位(3位)となっている。
夢を見て、なにが悪いだろう。日本勢が優勝するという夢だ。
彼女たちは、申し分のない力を持っている。それをそのまま発揮してくれれば、優勝も叶うのではないか。チャンスはある。大いにある。
夢を見るのに、「東京」はとてもよい舞台だ。今後、ロシアを筆頭に若い世代が、世界で台頭してくる。予想ではなく、確実に、である。トリプルアクセルを複数の選手が跳ぶ。たとえば、そんなふうに変わってゆく。
日本の選手には、国の代表としてだけではなく、自身の幸せのために勝ってほしい。とくに、浅田、安藤には世界チャンピオンになる資格がある。
トップ選手の中には、オリンピック後のシーズンを休養に充てる選手も少なくない。だが、浅田、安藤はそれぞれ苦しみながら試合を重ね、調整を続けてきた。休んでいた選手には負けてほしくない。強く、そう思う。
どんなに不調でも……試合から逃げなかった浅田真央。
今シーズン、いちばん苦しんでいたのは浅田である。彼女は今季、一度も勝っていない。前半戦ではことごとくジャンプを失敗し、自己ワースト、しかも、信じがたいスコアを記録した。
ジャンプの失敗は、矯正に取り組む過程で起きていた。どんなに不調でも、浅田は試合から逃げない。挑んでゆく。復調の兆しが見え始めたのは、全日本選手権あたりだ。どん底からの準優勝は、彼女ならではのステップだったろう。
浅田は2月の四大陸選手権でも、トリプルアクセルを成功させ、2位となった。表現では高評価を得ているので、ジャンプをまとめられれば結果はついてくる。追い込まれたとき、浅田は強い。独特の何かを持っている。今季、最終戦に期待したい。