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寺内健/飛込競技
「スーツを脱ぎ捨てロンドン五輪へ」 

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芦部聡

芦部聡Satoshi Ashibe

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photograph bySatoshi Ashibe

posted2011/03/06 08:00

寺内健/飛込競技「スーツを脱ぎ捨てロンドン五輪へ」<Number Web> photograph by Satoshi Ashibe

「ライバルはいない。自分との戦い」と表情を引き締める

2年ぶりに飛び込んだ瞬間、「あ、意外にいけるじゃん」。

「板のしなりを利用して5mほど飛び跳ねるんですが、十分な反発力を得るにはしっかりと踏み込める足腰の筋力が必要。踏切の位置が1cmずれるだけでも演技に大きく影響してくるし、力強さと繊細さの両方が要求される競技なんです。プールでの練習を再開したのはつい最近。しばらくは体のキレを取り戻すことに専念していました。トランポリンやマットで勘を取り戻したり……でも、2年近く遠ざかっていたわりには、鈍っていなかった。飛び込んだ瞬間、『あ、意外にいけるじゃん』と(笑)。体重も引退前とほぼ同じまでに戻ったし、手応えを感じています」

 ふだんは午前中にウエイトトレーニングをこなし、午後はトランポリンでの仮想練習とプールでの実践練習で4時間ほどを充てている。練習を終えた寺内選手は、スタッフとのミーティングのために、再度スポーツスタジアムに向かった。居合わせた卓球の選手たちと談笑しながら、食堂で夕食をとる。

ロンドン五輪が終わったら主夫の世界に転身!?

「いつもは外食は控えて、なるべく自炊するように心がけています。過不足なく栄養をとれるし、何より安上がりだから(笑)。昆布や煮干しでとった出汁をガラスのポットにいれて冷蔵庫に常備して、味噌汁や出し巻卵に使ってます。料理はいい気分転換にもなるし、食事の管理もトレーニングのうちです」

 その気になれば家事の手腕を生かして、主夫の世界に転身できるだろう。才能のある男には何をやらせてもうまくいくのだ。

「2年間飛び込みから離れていたことは決してマイナスではなく、むしろプラスだと思っている。足りなかったことがはっきりわかって、やるべきことを再確認できた。目標は12年のロンドン五輪出場ですが、まずは4月の日本選手権で表彰台に上がることをめざしています。支えてくれる会社の期待にこたえるためにも、いい結果を出したいです」

寺内健(てらうちけん)

1980年8月7日、兵庫県生まれ。JSS宝塚スイミングスクールのコーチである馬淵崇英氏に見出され、小学生で飛込競技を始める。中学校2年生で日本選手権の高飛び込みで史上最年少で初優勝。高校1年生で1996年のアトランタオリンピックに出場し、高飛び込みで決勝進出。2000年、シドニーオリンピックでは、高飛び込みで日本人史上最高位の5位入賞、3m飛び板飛び込みで64年ぶりとなる8位入賞。2008年の北京オリンピックでは、日本の水泳選手初の五輪4大会連続出場を果たした。2009年4月に現役引退を表明したが、競技への情熱は衰えず、2010年8月に復帰を表明。2011年1月にミキハウスへ入社し、ロンドン五輪出場を目標にトレーニングに励んでいる。

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