オフサイド・トリップBACK NUMBER
3バックは本当に復活するのか?
ザッケローニの次なる一手に注目。
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/03/01 10:30
「(日本代表チームは)アジア杯で優勝しましたが、これは到達点ではありません。私の使命は日本サッカーの成長です。2014年のW杯ブラジル大会では世界のトップを争う実力のあるチームとして戦いたい」と2月21日には発言しているザッケローニ監督
“W杯で勝つための3バック”なら反対する理由はない。
もちろんザッケローニは悪しき意味でのシステム至上主義者ではない。
アジアカップにおける一連の采配、とりわけ韓国戦やオーストラリア戦が示すように、むしろ監督としての最大の特徴は、個々の戦況に応じて、自分が必要だと感じた策を迷いなく打てる「実践知(practicalwisdom)」にこそある。
仮に3バックを採用した場合でも、それは彼なりの工夫とアイディア、経験値が盛り込まれた柔軟性に富むものになるはずだ。現にミラン監督時代の'98-'99シーズン、ザッケローニは3-4-3がうまく機能しないと判断するや途中で見切りをつけ、最終的には3-4-1-2に切り替えることでチームをセリエA優勝に導いている。
また極論すれば、仮に世界のトレンドに反するものでも、日本代表の選手やチームと相性が良く、かつ相手に対しても通用する──W杯で上位進出を目指す強力な武器になるのであれば、3バックの導入に反対する理由などあるはずがない。
「私はこの世の中にあるシステムを全部試しました。当然、新しいシステムや他のシステムのバリエーションも日々探求しています」
試合翌日の記者会見で、ザッケローニはこうも語った。
はたして彼は、ゆくゆくは日本代表の3バック化を試みるのか。そして3バックというシステム自体の新たな可能性を、自らの手で証明してみせようとするのだろうか。彼の次なる一手と日本代表の行方が、さらに楽しみになってきた。