Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
廣中璃梨佳、高島由香ら“五輪クラス”が続々ユニクロに集結! 規程改正で移籍が活発化、塗り替わるクイーンズ駅伝の勢力図
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byAFLO
posted2026/11/06 06:00
2025年のクイーンズ駅伝で 6位のユニクロは、6人中5人が移籍加入の選手だった。3区を走った市田美咲(左)は今季ルートインホテルズに移籍
そして’19年、公正取引委員会から独占禁止法違反の可能性があるという指摘を受けて、移籍に関する規程は見直しを迫られた。翌年2月に「円満移籍者でない者の……」の条項は撤廃され、新たな規程が設けられた。その規程の詳細はここでは省くが、明らかに選手たちは以前よりも移籍がしやすくなったというわけだ。
ユニクロを例にとると、昨季6位のメンバーのうち、生え抜きの選手は社会人1年目でアンカーを任された神田青葉だけだった。1区の川口桃佳と2区の後藤夢は豊田自動織機、3区の市田美咲はエディオン、4区のオマレ・ドルフィン・ニャボケはユー・エス・イー、5区の平井見季は肥後銀行と、別の企業から移籍してきた選手たちだ。このうち、市田は今季、ルートインホテルズに移り、プリンセス駅伝の優勝に貢献している。
様々な事情があるにせよ、選手たちがそれぞれの目標を成し遂げるために、またはさらなる活躍の場を求めて新天地に移るのは、当然の権利と言えるだろう。
ADVERTISEMENT
廣中や高島のような日本代表クラスの選手の移籍は、いやが応でも話題になるが、昨今は全体を把握するのが大変なほど、実業団選手の入れ替わりが激しい。
’24年パリ五輪10000m日本代表の小海遥の移籍も、今季の大きなトピックだった。仙台育英高から第一生命グループ(現・第一ライフグループ)に入社しオリンピアンにまで上り詰めたが、その後は不調が続いた。7月31日に同社を退社し、9月1日付で三井住友海上に入社。新たな環境で再起を図る。2000年代に7度の優勝と最強を誇った三井住友海上も近年は浮き沈みが大きいが、昨年のクイーンズ駅伝では4位と久々に上位争いに顔を出した。北海道マラソン2位の不破聖衣来やパリ五輪5000m代表の樺沢和佳奈、アジア大会3000m障害7位入賞の西山未奈美といった実力者がおり、小海が本調子を取り戻せば、さらなる上位も望めそうだ。
日本を代表するランナーの実業団復帰
移籍ではないが、国際大会で数々の実績を残してきた田中希実が、今季、豊田自動織機に再び入社した。田中は同志社大学在学中から同社のサポートを受けており、大学を卒業した’22年に入社。その翌年、プロランナーとして活動すべく退社し、ニューバランスに所属してきたが、今年4月に再び実業団選手になった。チームは、田中抜きでもプリンセス駅伝で3位となり、クイーンズ駅伝出場を決めた。本戦には田中も出場する見込みだ。800mから10000mまでマルチにこなす田中は、どの区間で起用されてもチームに大きなアドバンテージをもたらすだろう。
近年のクイーンズ駅伝は、積水化学と日本郵政グループを軸に、その時々で勢いのあるチームが覇権を争ってきた。だが、有力選手の出入りが目立った今季は、その勢力図に少し変化が見られるかもしれない。今勢いのあるユニクロに日本代表経験のあるふたりが加わったことが象徴的だったが、女子駅伝界に大きな地殻変動が起こりそうな予感は確かにある。


