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野球のぼせもんBACK NUMBER
「0勝4敗」セリーグ代表DeNAの誤算…現地記者が目撃「日本シリーズの流れを変えた」1つのプレーとは? ソフトバンク柳田悠岐の“ある動き”
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNanae Suzuki
posted2026/10/30 06:00
ソフトバンクの日本一連覇。現地記者がその要因に迫る
柳田の「一瞬の判断」が流れ変えた
上沢は雨と寒さのためか、それとも大舞台の緊張のためか落ち着かなかった。マウンドに上がってすぐの初球、ツーシームを引っ掛けて左打席の1番・度会隆輝の左太もも裏に直撃させてしまう。上沢も「ありえない一球」と語る死球だった。
その後も球がうわずる。そして注目すべきが1アウト一、二塁で4番・筒香嘉智を迎えた場面だ。外角高めに浮いた初球の直球を、筒香は痛烈なライナーではじき返した。
打球は左翼へ。38歳のベテランは基本的に指名打者で出場するが、第1戦はDH制のないセ・リーグ主催試合のため守備に就いていた。判断の難しい打球だった。空模様のせいで人工芝はたっぷりと雨水を含んでいた。それでも柳田は果敢にノーバンで捕りに行った。しかし、明らかに間に合わない。すると柳田は、ボールが地面に着く寸前のところで体勢を切り替えて、ワンバウンドの打球を処理。内野へ返球した。二塁走者はライナーを警戒したためスタートを切れずホームには突っ込めなかった。得点を許さずに1アウト満塁。そして上沢は、次打者を遊ゴロゲッツーに仕留めて無得点でピンチを切り抜けたのだった。
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いわゆる記録に残らないファインプレーだったと思う。柳田に好判断だったのでは、と水を向けると、「そんな余裕はないですよ。たまたま。もう勝手に体が動いただけです」と笑われた。
外野手はまず、ライナーをノーバウンドで捕りに行くのは基本中の基本ではある。ただ、あの筒香の打球は強烈だっただけに一歩間違えれば後逸する危険性もあった。それでも果敢に突っ込めるのは常日頃から守備に対して高い意識を持ち、たとえば練習中のフリー打撃の打球捕から集中力をもって取り組んできたからに間違いないのだ。
ソフトバンクの外野守備部門を担当する大西崇之コーチにも話を振ると、「確かに本人が言うように『たまたま』もあるよ」とまたも笑われたが、口元をニンマリ緩めたまま頷きながら言葉をつづけた。
「あれが最初からワンバウンドで捕りに行ってたら、二塁走者は還ってくるよ。ライナーで捕るという姿勢が大事ってことだよな。柳田は経験値がある。だから慌てないよね」
そして、大西コーチにはもう一つ聞きたいシーンがあった。
<つづく>

