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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「負けた気がしていない」敗者・那須川天心のコメントは本当に“失言”だったのか?「顔には涙の跡が…」取材記者が見た“異例の会見”舞台ウラ
posted2026/10/04 17:05
井上拓真に敗れた直後、会見で悔しさをにじませる那須川天心
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Takuya Sugiyama
◆◆◆
勝者は安堵の笑顔で会見を終えた。だが報道陣は、敗者の言葉を聞きたがっていた。
「天心選手の会見は控え室で行います」
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数十人の記者やカメラマンが列をなしてプレスルームから控え室へと移動する。井上拓真に2度敗れた、那須川天心の言葉を聞くために。9月27日の22時45分だった。
天心の顔に残っていた、涙の痕跡
スポンサーパネルの前に那須川が座っていた。殺風景なプレスルームではなく控え室で会見が行われるのはそういうことか、と理解した。顔の傷痕は目立たないが、かすかに涙の痕跡が認められる。右には帝拳ジムの浜田剛史代表、左には葛西裕一トレーナー。すし詰めの報道陣がレコーダーを握る手を伸ばす。無数のカメラのレンズは那須川の表情をとらえている。
7ラウンドにダウンを奪いながら判定で敗れたという経緯。試合終了のゴングと同時に突き上げた拳。号泣してリングを去る姿。結果に対して納得がいかない思いもあるのでは、ということは誰でも想像できた。ありていにいえば、“失言”に近いなにかをうっすらと欲望する気配があった。
「ほんと、ボクシングで負けたなって感じでした」
こら、と言葉にはしなかったものの、葛西トレーナーが那須川のヒザのあたりを叩いて微笑みかける。那須川も笑う。「全部出し切りました」。ボクシングで勝負して、ボクシングで負けた。それ以上でも以下でもない。そんなことは、誰に言われるまでもなく本人が一番わかっている。だが、「どうすればよかったのか」がわからない。不平不満を吐き出したいわけではなく、言葉にすることで気持ちを整理しようと試みているように見えた。

