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「難しいです、ボクシング」SNSで起きた“敗者・那須川天心叩き”の奇妙さ…拒絶反応の正体を考える「なぜか不機嫌そうだった」試合前にあった“異変”
posted2026/10/04 17:06
井上拓真に敗れ、涙を流しながらリングを降りる那須川天心
text by

曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Hiroaki Finito Yamaguchi
◆◆◆
「ボクシングで負けたなって感じでした」
井上拓真との再戦に敗れた直後に那須川天心が発したコメントが、一部で批判を浴びている。それについては追って触れるとして、本人だけでなく陣営もポイントに疑問を抱いていた点が気になった。試合とスコアシートの内容を確認し、ジャッジの採点について考えてみたい。
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最終的なスコアは3-0、内訳はジャッジ2者が「116-111」、1者が「114-113」だった。3者が揃って拓真につけたのは1、3、5、8、9、11ラウンドの6つ。一方、那須川の方はダウンを奪った第7ラウンドの「10-8」のみ。ジャッジが割れたのは2、4、6、10、12ラウンド。そのうち2者が那須川につけたラウンドは2、6、12、拓真につけたラウンドは4、10となっている。
なぜ“論争”が生まれたのか?
試合を見返したうえで、筆者が那須川にポイントをつけたのは2、6、7、12ラウンドの4つ。その他のラウンドはすべて拓真とした(1、10、12ラウンドは判断が難しかった)。ダウンのあった第7ラウンドのみ「10-8」、他のラウンドを「10-9」とつけると、最終的なポイントは「115-112」で拓真の勝利。あくまでも主観に過ぎないが、実際の採点と大きな開きはない。
那須川陣営の葛西トレーナーが「ビックリした」と語ったのは、4ラウンド終了時点での公開採点についてだった。ひとりのジャッジが「40-36」と、すべてのラウンドで拓真に「10-9」をつけていたからだ。残りは「38-38」のイーブンと、「39-37」で拓真。これを直接の敗因とするのは暴論だが、公開採点によって中盤以降のプランが狂った可能性はある。
試合をトータルで見れば、積極性と手数で上回った那須川を、パンチの正確性とディフェンス能力で凌駕した拓真の判定勝利は妥当だと思われる。敗れはしたものの、元世界王者をはじめ多くの識者が那須川の成長を認めた。一方で30歳の拓真も円熟期を迎えていた。接近戦で完勝した第1戦とは異なり、ダッキングからのクリンチ、ロープ際の攻防、ラウンド終盤のまとめ方なども含めた、すぐれてボクシング的な技術と戦略の勝利だった。「ボクシングで負けた」という那須川の感想は、ある意味で正鵠を得ていた。


