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「那須川天心は喧嘩で勝ってボクシングで負けた」元世界王者が間近で見た天心の誤算と井上拓真のスキ「天心の逆転もあるかと思ったけれど…」

posted2026/10/02 12:10

 
「那須川天心は喧嘩で勝ってボクシングで負けた」元世界王者が間近で見た天心の誤算と井上拓真のスキ「天心の逆転もあるかと思ったけれど…」<Number Web> photograph by Naoki Fukuda

元世界王者の伊藤雅雪氏が特等席で見た決戦の内幕。天心が「ボクシングで負けた」という意味は……?

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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Naoki Fukuda

9月27日にトヨタアリーナ東京で開催されたWBC世界バンタム級タイトルマッチは王者の井上拓真(大橋)が同級1位の那須川天心(帝拳)を3-0の判定勝ちで退け、2度目の防衛に成功した。前回対戦もリングサイドで見守った元世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪は、10カ月ぶりの再戦をどう見たのか。『トレジャーボクシングプロモーション』の代表でプロモーターの顔を持つ35歳が、独自の視点で語ってくれた。〈全2回の1回目〉

 近い距離の打ち合いになると、チャレンジャーに分があるように思えた。あらためて、伊藤が感心したのは那須川のスピード、当て勘。その局面においては、井上拓真よりも優れていたという。

 後半はチャンピオンの顔面にパンチをヒットさせ、7ラウンドにはダウンも奪取。格闘技界で『神童』と呼ばれた挑戦者は試合後、複雑な表情を浮かべながら「ボクシングで負けた」と思いを口にした。敗者の弁を聞いた伊藤は、はっきり言う。

天心は喧嘩で勝ってボクシングで負けた

「喧嘩では天心が勝っていたかもしれないけど、ボクシングの勝者は拓真。殴り合いだけではないので。ポイントで争うスポーツでもあるから。これがボクシング。拓真はうまく戦っていましたね。ボクシングをよく知っています」

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 両者の息づかいまで見える特等席で見た伊藤の採点は115-112。116-111のジャッジ2者よりも、114-113の1者に限りなく近い。序盤から井上は慎重だったが、要所でガードの上からでもパンチを叩くなど、見せ方がうまかった。各回、必ずポイントの優劣をつけるラウンドマストシステム(どちらかに10点)で採点すれば、優勢に見えたのはチャンピオンだ。クリーンヒットはなくても、判定基準となるリングジェネラルシップ(どちらが試合の主導権を握っているかを示す言葉)で井上を支持せざるを得ない。

「4ラウンドまでの前半だけを見ると、どちらにポイントを振るかといえば、拓真かなと。40-36のフルマークをつけたジャッジがいましたけど、そういう見方もできますよね。個人的には39-37。自分のリズムで戦っていたのは拓真ですから」

【次ページ】 拓真のダウンは、効いていたように見えた

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