甲子園の風BACK NUMBER
甲子園“初出場で大躍進”の東日大昌平「唯一の女子部員」が明かしたユニフォーム姿の「意外なワケ」…話題の強豪部員から「憧れじゃなくて勇気を…」
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph bySankei Shimbun
posted2026/08/16 06:02
甲子園初出場ながら16強に進出した福島の東日大昌平高校。躍進を続けるチームには、ユニフォームに身を包んだ女子部員の姿が
立場が、人を変える。
中野も「ふざけられないな。ちゃんとやろう」と、自分を律するようになった。チームの幹部だけのミーティングでは、発言こそ控えめながら選手目線でしっかりと耳を傾ける。そこから、キャプテンの峯大珠をはじめとする選手たちと意見を交わすことで、チームの機微を感じ取れるようになっていった。
「だんだん話しやすい環境になっていきました。3年生は最後の夏なんで、『頑張ろう』みたいな気持ちがすごく伝わるようになってきて。だから、私が何かをしたというよりは、みんながチームの一員として戦えるようになったのが大きかったと思います」
ADVERTISEMENT
今年の甲子園は、高校野球における女性の立ち位置が大きく変わった。
初めて女性審判が採用され、星や中野のような女子部員が、チームの戦力として認知されるようになった。彼女たちの「一歩」が、高校野球を変えたのである。
前例のない挑戦でも…「いろんなことに前向きに」
仙台育英初の女子部員。野球部の歴史を変えた星の言葉に、力がみなぎる。
「前例のない挑戦なので。これから自分と同じような挑戦をしたい人たちに届いてくれたらいいなって思っています。性別とかで消極的になるんじゃなくて、いろんなことに前向きになって挑戦してくれるような人が、どんどん増えていったらいいなって思います」
中野が星に影響を受けたのが「憧れ」ではなく「勇気」だったのは、同じ立場として強烈なまでのシンパシーを感じたからである。
だから、伝えたい想いも星と同じなのだ。
「私が中学生のときから女子野球がだんだん広まってきたように、男子の高校野球でもどんどん女子にスポットライトが当たるようになってくれてうれしいです。自分たちのことを見てくれた後輩や他の高校の女子部員の人たちも、勇気を出して前に進んでくれたらいいなって思います」
ユニフォームを着て高校野球の聖地に立った、初出場校の女子マネージャー。
中野は甲子園で有名になった。
「ありがたいんですけど、あまり注目されないほうがいいです」
それでいい。これからの高校野球は、中野や星のような“選手”が当たり前になる。

