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野球クロスロードBACK NUMBER
「もう1回は起こせない」けど…“甲子園初出場”有明が起こした「土壇場の逆転劇」は偶然じゃない!? 気鋭の監督が語った「人とのつながり」の重要性
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byGenki Taguchi
posted2026/08/13 11:03
春夏通じて初の甲子園出場となった熊本・有明高校を率いる高見一茂監督。さまざまな「人の縁」が初戦の逆転劇を生んだと語る
だから――と、高見が続ける。
「僕自身、ほとんどしゃべらないです。練習が終わってからのミーティングも自分からはほぼやらないです。そういったところは部長になった中野先生がやってくれるんで」
普段は選手たちとの会話が少ない分、試合で彼らが監督の顔色を窺いながらプレーしないよう、柔和な表情でグラウンドへ送り出す。それは、「メンタルコーチの影響もあります」と高見自身、今も自らを高めている。
「いろんな人のおかげで…」確立された“強者のメソッド”
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高校野球における「勝てる条件」のひとつに、強い組織づくりがある。
福島の聖光学院、群馬の健大高崎、兵庫の報徳学園……。甲子園で実績を残すチームは多くのスタッフを抱えながらも指導理念をはじめとする目的意識を共有し、形にできる強固な地盤が築かれている。
人とのつながりを重んじる高見が指揮する有明も、同じように「強者のメソッド」を育んできたわけである。
西がコーチとなった2年後の春に、九州大会で初優勝と明確な実績を残した。この世代に影響され翌年に入学してきた1年生は、多くの選手が秋から主力を担うようになり、昨年の夏は県大会で準優勝。有明は「いつ甲子園に出てもおかしくないチーム」と呼ばれるようになった。
そう、彼らこそが、今年の夏に有明の歴史を変えたメンバーたちである。
高見がしみじみと話す。
「いろんな人のおかげで今が確立されているのは間違いないんで。やっとここまで届いたかなって感じですかね」
次は長崎日大との九州対決になる。相手監督の平山清一郎とは同学年で練習試合も多く重ねる、互いに手の内を知った関係となる。
勝敗を分けるのは、また甲子園のうねりとなるのだろうか――そんなことを高見に向けると、やんわりと否定された。
「もう1回起こせって言われても、たぶん起こせないと思うんですけどね」
今の有明には、「無形の力」に頼らずとも勝てるだけの「人とのつながり」がある。

