- #1
- #2
甲子園の風BACK NUMBER
「チームがないと試合もできないので…」球速140キロ目前でも…部員はひとりだけ!? 青森“たったひとりの野球部員”が語った「連合チームの意義」
text by

二瓶祐綺Yuki Nihei
photograph byYuki Nihei
posted2026/08/14 17:02
野辺地高校野球部の「たったひとりの部員」である松舘侑希。高校トップ級の140キロを目指した彼が、連合チームで得た経験とは?
「140キロ近いボールを投げる彼の立場になれば、ショックに思う気持ちも凄く分かります。でも、この先を考えたときに、他の人が守ってくれていることへの感謝だけは持っていてほしかった。それを春の試合中に指摘したことはあります」(佐藤監督)
普段1人で活動する中では、バックへの感謝という部分に気付くことはなかなか難しい。松舘にとっては連合チームでの活動がそうした部分について気付かせてくれるきっかけとなった。松舘自身も、マウンド上でのメンタルについて成長する機会になったと語る。
「『守ってもらっている』という立場を忘れてはいけないんだな……と。先生に言われたように、その感謝を忘れないように、マウンドでの態度も意識するようにしました」
ADVERTISEMENT
そうして技術的にも精神的にも成長して迎えた、今年7月――最後の夏。
1回戦の柏木農業・五所川原工科との連合チーム対決では、1-1の同点の7回に松舘がレフトへあわや柵越えかという勝ち越しの一打を放ち、勝利した。
「自分は最後の打席までノーヒットだったので、絶対に返そうという気持ちで打ちました」
続く2回戦の八戸西戦では、8点ビハインドの6回に3番手として登板。走者を背負いながらも、1回を無失点に抑えた。試合には敗れてしまったが、投球面では手ごたえを感じていたという。
最後の夏は2回戦敗退…球速は140キロに届かず
「自分では結構いいピッチングができたと思っています。ストレートで押せていましたし、詰まらせたり、振り遅らせたりしてのフライアウトが取れたので、その点が良かったです」
一方で、夏の大会で記録した最速は133キロ。目標とする140キロ到達は持ち越しとなった。地方の小さな野球部では、そもそも球速を測定できる機会自体がそう多くはない。夏大会も2回戦に進出して、はじめて球速表示のある会場での試合だった。

