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「これは、なにか起きますね」9回表、扉は開いた…甲子園の“魔力”はなぜ熊本・有明に味方した? 蘇る「令和最強チームの敗戦」「逆転のPL」の記憶
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生島淳Jun Ikushima
photograph byJIJI PRESS
posted2026/08/09 11:00
立命館宇治に逆転勝ちし、喜ぶ有明の選手たち
まだまだ何かが起きるムード
続く7番、高橋に対して、立命館宇治2番手の坂本は4球目に暴投で進塁を許し、走者は二塁へ。それでも、高橋の痛烈なライナーが三塁正面を突いてツーアウトとなる。
立命館宇治にとっては、あとアウトひとつだ。
ただ、高橋の打球が痛烈だったこともあり、観客のボルテージは上がったままだった。三塁側スタンドに座っていると、「あとワンアウト」という雰囲気はなく、まだまだ何かが起きるというムードが横溢していた。
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そして8番新谷は3―1から四球。この最後の球がまたもや暴投になる。二死一・三塁と有明が押せ押せとなって、さらにボルテージが上がっていく。
それでも、この時点でも立命館宇治に分があると思っていた。有明の9番打者、山崎はそれまで投ゴロ、三振、三振に倒れており、立命館宇治バッテリーとすれば、丁寧に制球していけば、打ち取れる確率が高いはずだった。ところがーー。
2つの暴投で心が乱れたのか、坂本がストライクを取れない。1球目ボールで歓声が上がる。2球目ボール、さらに大きな歓声。3球目もボールで、これが大歓声となる。
ああ、これは持っていかれるーー。魔力は爆発寸前になった。
結局、ストレートのフォアボールで二死満塁、有明にとっての舞台は整った。
爆発するスタンド
打席に迎えるのは1番の永田。7回には2点タイムリーを放っており、有明にとって願ってもない打者が打席に入った。
それでも立命館宇治の坂本は、初球ストライクを取る。少しだけ、流れを取り戻す。しかし、2球目のストレート、捕手の要求は内角低めだったが、これが真ん中高めに入った。永田は見逃さない。快音を残して白球は左中間へ。スタンドはこの時を待っていたかのように爆発し、三塁ベースコーチは腕をぐるぐる回し続ける。
走者一掃のツーベース、5対3。魔力を味方につけた有明の大逆転劇である(帰ってからその瞬間の映像を見ていたら、バックネット裏で観戦している半ズボンの野球少年が立ち上がって興奮していた。彼がスタンドの雰囲気を体現している)。
その直後、二塁走者永田が三盗を敢行すると、捕手の悪送球を誘って追加点をあげ、リードは3点に広がった。もはや、立命館宇治に流れを止める術はなかった。
そしていよいよ9回裏、立命館宇治にもうひと波乱起こして欲しいところだったが、先頭打者が三球三振となり、再びスタンドのボルテージが上がる。立命館宇治の応援席をのぞいて、球場全体が「有明ムード」に染まっていた。そして右フライ、二フライでゲームセット。有明の校歌が甲子園で初めて流れた。

