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「嫉妬していた」ソフトバンク“期待されてなかった男”中村晃はなぜ超一流になれたか? 「言葉は悪いんですけど…」ファン大歓声は“努力の人”への祈りだった

posted2026/07/06 11:00

 
「嫉妬していた」ソフトバンク“期待されてなかった男”中村晃はなぜ超一流になれたか? 「言葉は悪いんですけど…」ファン大歓声は“努力の人”への祈りだった<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

今季限りでの引退を表明したソフトバンク中村晃

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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Nanae Suzuki

 土壇場9回裏、追いかけるのは3点差。失意の底に落ちるにはまだ早すぎる。打線がつながり満塁となった。この局面で試合途中から出場していた19年目大ベテランの中村晃が、ネクストバッターズサークルからゆっくりと打席に向かう。かねて中村晃は言っていた。

「打席での粘りは自分の持ち味です。だけどチャンスの場面では消極的はダメ。積極的に行くのが大事なんです」

 その流儀が今も変わらぬことが、この打席で証明された。

逆転満塁サヨナラ弾“5日後”の引退表明

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 初球の内角直球に迷わず手を出した。快音とともに夜空に舞い上がった打球がライトへ大きな弧を描く。ぐーんと伸びて、落ちてこない。そして外野フェンスを越えていった。“お釣りなし”の逆転サヨナラ満塁ホームラン。ダイヤモンドを一周してチームメイトに迎えられた中村晃はまるで野球少年のように笑っていた。

 6月28日、ファーム・リーグのソフトバンク対オイシックス新潟で起きた一幕だ。タマスタ筑後の客席に詰めかけた1,716人が“奇跡”の目撃者となった。

「やっぱりホームランはどこで打ってもいいものだと思います。サヨナラホームランは何度か打ったけど、サヨナラ満塁ホームランはたぶん人生初じゃないですかね」

 しかし、わずか5日後の7月3日、中村晃は今季限りでの現役引退を表明した。6月上旬には決意を固めていたという。

「決めたのは6月4日のドラゴンズ戦の試合後ですね。その日に選手生活を終わろうという決断を自分の中ではしました。今年ずっと代打という仕事を任されて、結果が出せなければ引退ということも考えないといけないと思っていました。自分の中で交流戦ぐらいをめどに、結果が出れば続けますし、結果が出せなければそういう判断をしようかなと思っていた。それで6月4日に決めたという感じですね」

中村晃の涙…「自分への敬意」

 今季は昨秋に受けた腰椎椎間板ヘルニア手術の影響からキャンプを満足に過ごせなかったことも響いたのか、開幕から打撃の状態が上がらなかった。主に「代打の切り札」として23試合に出場して打率.129と低迷。6月9日に出場選手登録を外れていた。

 引退表明会見では、家族への深い感謝を口にして涙を浮かべる場面もあった。

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