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プロ野球PRESSBACK NUMBER
“優勝胴上げを無視”“ボールをシュートして降板”吉井理人、近鉄時代の悪童伝説…「態度、悪いですよね」若かりし日の情熱と後悔とは
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byTakahiro Kohara
posted2026/06/30 11:01
野茂英雄(右)と談笑する近鉄時代の吉井理人(左)。現役時代の逸話を語った
態度、悪いですよね
優勝が決まった。マウンドに歓喜の輪ができ、仰木の胴上げが始まる。納得いかない吉井は、その胴上げに背を向け、すたすたとロッカーへ引き揚げていった。
投手コーチの権藤博が、慌てて吉井を追いかけた。
「ああ、そんなこと、ありましたね」
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若かりし日の、感情に任せたその行動に関して、吉井は少しだけ悔やんでいた。
「態度、悪いですよね。あそこは勝ったんだから、みんなでやっぱり、一緒に喜ばないといけないところだったと思うんです。あれは反省しています。自分の都合、機嫌でああいう風になるのは、やっぱりよくない。
その後の日本シリーズもそういう意味で、なんか適当な感じになっちゃったんで、すごく後悔しています。その後、近鉄は日本一になっていないわけですから、そこはもうちょっと、真剣に投げなきゃいけなかったところだと思うんです」
89年の日本シリーズ。近鉄が第1戦からの3連勝で初の日本一に王手をかけながら、ヒーローインタビューで、加藤哲郎の「巨人はロッテより弱い」とも受け取れる“侮辱発言”が物議を醸すと、そこから巨人が4連勝。吉井も7戦中5試合に登板しているが、第5戦の7回、それまで打撃不振だった巨人・原辰徳に満塁弾を浴びるなど、第3戦で1セーブを挙げたのみにとどまり、どこか精彩を欠いていた。
近鉄は一度も「日本一」になれなかった
そして近鉄は、オリックスとの球団合併で、2004年に55年間の歴史を終えた。その間に、一度も「日本一」にはなれなかった。
感情を抑え切れず、その思いを引きずってしまったという若き日の悔い。しかし、その“情熱の発露”は、緊張感の中で体中にアドレナリンを巡らせ、心身を削りながらぎりぎりの勝負を繰り広げるアスリートにとっては、むしろ自然な反応でもある。
当時の吉井は、自分の感情に正直だったとも言えるのだ。
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