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「部活後は何するの?」「塾です」“偏差値66の公立進学校”で指導者に、元プロ野球選手が感じた“難しさ”…大和が今明かす、DeNA退団後に考えたキャリア
text by

佐井陽介Yosuke Sai
photograph byHideki Sugiyama
posted2026/06/01 11:01
神奈川の公立進学校、光陵高校の野球部でインストラクターを務める現在の大和さん
グラウンド1面を丸々独占できるのは週に1回あるぐらい。残りの6日間はハンドボール部や陸上部、サッカー部とグラウンドを共用するため、フリー打撃を実現させるためには近くにあるサーティーフォー保土ヶ谷球場を借りなければならない。
雨の日は体育館も使えない日があり、そんなときは教室が練習場になる。机と椅子を教室の両端に寄せて、飛びにくく窓ガラスを割ることもないバドミントンの羽根をボール代わりに打撃練習を繰り返す。
かつて鹿児島の野球強豪高校で3年間を過ごした大和にとって、それらは全て初体験の世界だった。母校の樟南高校には当たり前のように室内練習場が存在した。悪天候でも使えるランニングコースがあった。自分たちがどれだけありがたい環境で野球を続けさせてもらっていたのか、痛感させられた。
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「今は限られた環境で練習する難しさを感じています。与えられた環境でどのように工夫して練習するのか、自分も考えていかないといけない」
男はそう言葉に力を込めた。
部活が終わると、生徒たちは塾に行く
光陵高校の生徒たちは午後7時最終下校というルールを厳守しなければならない。部活動を切り上げたあと、夜遅くまで勉強に励むルーティンが一般的なのだという。
ある日、大和は7時ギリギリに校門を出ようとしていた部員に何気なく尋ねた。
「今日はこれから何をするの?」
「今から塾です」
「そうなんだ。何時まで?」
「9時とか10時までです」
そんなハードな毎日を送りながら、決して恵まれているとはいえない環境で野球を続けているのである。
彼らのような球児たちが大人になっても野球を好きでいてくれて初めて、プロ野球の世界は成り立つ。彼らが子供たちに野球の楽しさを伝えてくれることで、球界の未来は開けていく。そんな現実を目の当たりにできたことで、大和は元プロ野球選手としての責務を再認識できた。
「もともと野球が上手な子供たちをもっと上手にすることは大事ですけど、野球界の底上げという意味では、野球をやってくれている子供たち全員が少しずつでもレベルアップできるように考えることも重要だと思うんです。誰だって上達すれば嬉しいし、ますます野球が好きになる。そんな子供たちを1人でも増やしていければいいなと思っています」

