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「サントリー退団」24歳高橋藍が“SVリーグの顔”として背負った重圧「ただの客寄せパンダに…」観客爆増だけじゃない、同僚が語る“本当の藍効果”
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米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byMATSUO.K/AFLO SPORT
posted2026/05/20 11:02
スーツ姿でSVリーグのアワードに参加した高橋藍(24歳)。リーグ連覇は逃したが、2年連続でベスト6とレシーブ賞に選出された
ミドルブロッカーの小野寺太志はこう話す。
「人気もあるし、プレーも素晴らしいし、藍は人を惹きつける何かを持っている選手だと思うので、これだけSVリーグが人気になった一つの要因だったと思う。彼が僕らサンバーズに与えてくれた影響はとても大きいと思っています」
サントリー対ブルテオンのファイナルが行われた横浜アリーナは連日ほぼ満員で、3日間で3万4695人が詰めかけた。小野寺が言うように、昨季スタートしたSVリーグの人気に、高橋が大きく寄与したことは間違いない。
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それまで観客動員が伸び悩んでいたサントリー戦のチケットは争奪戦となり、サントリー対ブルテオンの昨季の開幕戦は異例の地上波ゴールデンタイムに生中継された。各チームの努力や工夫も相まって盛り上がりは全体に波及し、入場者数は大幅に増加。男子のレギュラーシーズン1試合あたりの平均入場者数はVリーグだった前シーズン比143%の3021人に伸び、今季はさらに増えた。
高橋は、フェイクセットのような華麗な技で沸かせることもあれば、パワーで相手を圧することもある。常に勝利に執念を燃やしながら、バレーを楽しむことも忘れない。その姿が見るものを魅了する。
「結果がなければ、客寄せパンダになってしまう」
リーグやチームの顔として、取材やイベントに引っ張りだこで、心身ともに休まる暇がなかったのではないか。だがどんなに疲れていても、試合後は必ず笑顔でスタンドに手を振りながら会場を後にする。特に子供たちの声援は敏感なセンサーでキャッチし、満面の笑みで応えた。自分に求められているものをわかっていて、それをナチュラルに実行できるのが高橋藍という選手だ。
その裏で、特に1年目はプレッシャーも大きかったと明かしていた。
「契約金が話題になったり、期待値が高い中で、自分がプレーヤーとして認められるにはやっぱり結果を出さないと。どれだけお客さんを呼べたとしても、そこに結果がなければ、ただの客寄せパンダみたいになってしまう。そういうプレッシャーもあったので(昨季)優勝した時は本当にホッとしました」
セッター関田誠大やリベロ小川智大、ロシア代表のイゴール・クリュカが加わった今季は、開幕戦こそブルテオンに敗れたが、2戦目以降勝ち続け、29連勝。高橋自身も、昨季前半は足首の怪我に悩まされたが、今季はコンディションもよく、ほとんどの試合にフル出場し、アタック決定率リーグ2位、サーブ効果率3位、サーブレシーブ成功率4位と攻守ともにチームを牽引。40勝4敗で昨季は届かなかったレギュラーシーズン1位通過を果たし、順風満帆だった。
だが、サントリーの向かうところ敵なしかと思われたシーズンの最後の最後に、痛烈な逆襲を食らった。SVリーグは甘くないぞと思い知らされるかのように。


