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UFC王者の“エグい連打”で無念のTKO負け…平良達郎26歳の“最大の誤算”は何だったのか? ミドル級毒舌王者は称賛「ヤバかった…いつかベルトを取る」
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布施鋼治Koji Fuse
photograph byGetty Images
posted2026/05/13 17:02
日本人初のUFC王者を目指してタイトルマッチに挑んだ平良達郎。王者ジョシュア・ヴァンに食い下がるも、5ラウンドに力尽きた
平良陣営の“最大の誤算”は何だったのか
もうひとつ、ヴァンの強さの理由として、想像を絶するほどのハングリー精神を持ち合わせていることが挙げられるだろう。この王者がミャンマー生まれであることは知られているが、ルーツは少数民族として知られるチン族だ。ミャンマーの不安定な情勢もあり、チン族は国内で激しい宗教的・民族的弾圧にさらされている。
ヴァンの両親は子供を連れ、隣国マレーシアの難民キャンプへと逃れた。その数年後には国連の難民プログラムを通じ、アメリカへの移住が認められた。だが、そのアメリカでも小柄で言葉が使えないことを理由に、いじめの被害に遭ったという。幼少の頃から「生き抜くこと」が何より重要な環境に身を置き続けたヴァンにとって、信じられるものは家族や民族の絆と、己の拳だけだったことは想像に難くない。
類まれなハングリー精神を支えに21歳でUFCデビューを果たし、24歳の若さで王者となったヴァンの成長速度は、平良陣営の予想をはるか超えていた。このギャップこそ、ヴァンの最大の勝因ではなかったか。
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一方で、窮地に追いやられるたびに反撃の狼煙を上げた平良の闘争本能も、多くの格闘家やファンに勇気を与えた。『UFC 328』のメインでUFCミドル級王者に返り咲いた毒舌家のショーン・ストリックランドは「あいつはヤバかった。俺よりずっと大物だ。全ボーナスをもらうべきだと思いながら見たよ」「(年齢は)26歳? まだケツの青いガキみたいなもんだろ。いつかベルトを取るのが楽しみだ」と独特の言い回しで健闘を称えた。
試合後、SNSを更新した平良は応援してくれたファンや関係者に感謝の言葉を述べ、こんなフレーズで文章を結んだ。
「I’ll come back stronger.」


