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UFC王者の“エグい連打”で無念のTKO負け…平良達郎26歳の“最大の誤算”は何だったのか? ミドル級毒舌王者は称賛「ヤバかった…いつかベルトを取る」
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布施鋼治Koji Fuse
photograph byGetty Images
posted2026/05/13 17:02
日本人初のUFC王者を目指してタイトルマッチに挑んだ平良達郎。王者ジョシュア・ヴァンに食い下がるも、5ラウンドに力尽きた
2ラウンド終盤にあった想定外の一撃
続く2ラウンドから、いきなり暗雲が垂れ込める。平良が再びグラウンドに持ち込む場面もあったが、ヴァンはケージを背に立ち上がるなど“塩漬け”にはならない。逆にスタンドでは力強いジャブの連打で平良の鼻血を誘発し、試合の流れをたぐり寄せる。
白眉は2ラウンド終盤、ヴァンが強靱なブリッジで平良の寝技を凌いで立ち上がるや、カーフキックにタイミングを合わせた右のオーバーハンドでダウンを奪ったシーンだろう。平良は後方に大きく倒れ込んだが、意識はあったようで受け身をとっており、後頭部を強打することはなかった。とはいえ、大きなダメージを受けたことは明らか。残り時間はクローズドガードで防御を徹底するしかなかった。
いったい何が起こったのか。実は1ラウンドから右腕でしっかりと顔面をガードするヴァンとは対照的に、平良のガードは下がり気味だった。ノーガードでヴァンを誘い、カウンターのヒザ蹴りを合わせる作戦だったのか。事実、平良は何度もヒザ蹴りを王者のボディに打ち込もうとしている。
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試合の数週間前、長く平良を指導するTHE BLACKBELT JAPANの松根良太トレーナーは、とるべき距離について筆者に打ち明けていた。
「近い距離で勝負するのは達郎がそれほど得意としているところではない。しっかりとステップを使いながら、遠い距離からという練習をやっている」
一方で、大橋ボクシングジムでのキャンプの成果もあり、ジャブの精度をはじめ近距離でのボクシングテクニックは向上していた。松根トレーナーは「試合で近い距離になったら、そこでの自信につながると思います」と語りつつ、平良の強さの本質についても言及した。
「今までなぜ勝ち続けてきたかというと、被弾しない。達郎のもうひとつの強さをあげるなら警戒心が強いことです。警戒心が強いからこそ相手の打撃は当たらない。自分のだけを当てることができる」
2ラウンドに食らった右のオーバーハンドは、平良の警戒心の上を行く一撃だったのだろうか。


