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「ボークでは?」周東佑京の衝撃ホームスチール“じつはパニック状態だった”現場…柳田悠岐も困惑「ボールカウントが消えた…」ソフトバンク監督らの証言
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田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKYODO
posted2026/05/11 17:03
「母の日」の5月10日、ホームスチール、タイムリーヒットで活躍した周東佑京。亡き母を思い出した
「(三塁手は)あの位置からだとベースには絶対入れない。もし入ってきたとしても、そのままホームに走っちゃえばいい。バッテリーはすごいバッターがいるから目の前に集中している。だいぶ足を上げて投げていたし。(ルーキーで)若い投手とかは関係ないと思いますよ。経験のある投手だとしてもホームスチールをされたことのないピッチャーが多いと思うので」
三塁ベースコーチだった本多雄一コーチに「行けそうじゃないですか?」と問うたところ「行け!」と返ってきた。
「投球か、送球か」現場の混乱
毛利がセットに入り1球目を投げる直前、周東は猛然とスタート。毛利は慌てて捕手に投げるも高かった分だけ守備側は難しいプレーになった。周東は頭からホームに突っ込んだ。際どいタイミングだったがボールがこぼれており、球審は一度アウトのポーズを見せるもすぐにセーフのジャッジに変更したのだった。
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「(ヘッドスライディングをした)僕のお腹の下にボールがあったからセーフと分かっていました。ただ、アウトと言われても感覚的にリクエストをしたらセーフかなと思っていましたけどね」
この快挙を各メディア媒体は速報すべくキーボードを叩こうとするのだが、混乱はすぐに生じた。
ドームに表示されるカウントには最初、ボールが1つ灯されていた。筆者はたまたま記者席の中でも公式記録員のすぐ横に座っていたのだが、2名いる公式記録員もリプレー映像を見ながら、慌ただしく言葉を交わしていた。そして程なくして、柳田の打席の最中にボールカウントが1つ取り消されたのである。
質問に来た一部の報道陣に公式記録員は、
「毛利投手はプレートを外していたので『投球』ではなく『送球』です」
といった説明をしていた。そのうえで周東の盗塁(ホームスチール)を認めるというものだった。
「そもそもボークでは?」小久保監督の証言
公式記録員の見解が得られたことで記者たちは一斉に記事を書き進めた。そうして、試合中にはすでに周東の快挙が世に知れ渡ることになったのだが、ソフトバンクのベンチの認識は違うまま試合が進んでいたようだった。

