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「井上尚弥君と中谷潤人君の動向で世界戦のチャンスが変わる」“タパレスに勝った男”の意外な視点「井上君という嵐が過ぎるのを待ってます(笑)」 

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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photograph byHiroaki Finito Yamaguchi

posted2026/05/11 06:03

「井上尚弥君と中谷潤人君の動向で世界戦のチャンスが変わる」“タパレスに勝った男”の意外な視点「井上君という嵐が過ぎるのを待ってます(笑)」<Number Web> photograph by Hiroaki Finito Yamaguchi

同階級で世界を見据える現役選手からすると、井上尚弥と中谷潤人の世紀の一戦はただ「すごい試合」というだけではない意味を持つという

 無料の地上波放送、有料のネット配信と両方の時代を知る男はしみじみと話す。環境面、待遇面を見れば、随分と恵まれた時代になった。若いときからボクシングだけに集中し、リングで結果を残していけば、世界チャンピオンになれるのだ。プロキャリア18年目の37歳は、複雑な表情を見せる。良い面もあれば、心配な面もあるという。

新時代の良い面、心配な面

「スポンサーとの人付き合いをしなくなった若い選手たちも増えてきました。彼らは引退したあと、どうするのかなって。井上尚弥のようなスーパースターになれば、問題ないですが、そこまで稼げなかった人たちはきっと大変だと思います。ボクシング界以外の人脈もなく、何も知らないまま社会に出ることになる。地上波の時代はボクシングに興味を持たない人たちにも顔を多少知ってもらえていたけど、いまは試合を見ている人たちはコアなボクシングファンばかりですしね」

 苦労は買ってでもしろ——。若いときには気づかなかったが、いまになってよく分かる。自分の歩んできた道も、あらためて良かったと思える。試合後にチケットを購入してくれたファン一人ひとりにお礼のメッセージを送る習慣は変わらない。義理人情に厚い昔気質のボクサーは、誰からも慕われている。「年取って、疲労も抜けにくくなってきましたわ」と言うが、あしたの朝もロードワークに励む。時代は変われど、野太い声を響かせる熱烈な応援団とともに大きな夢を追っている。

〈全2回/拓真vs.井岡編を読む

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「僕ら世代のスターの井岡に限って…」同じ37歳現役の元世界王者が案じる井岡一翔の“ミス”と“今後”「彼は僕みたいにすぐ『引退』とは言わない(笑)」

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