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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「井上尚弥君と中谷潤人君の動向で世界戦のチャンスが変わる」“タパレスに勝った男”の意外な視点「井上君という嵐が過ぎるのを待ってます(笑)」
text by

杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byHiroaki Finito Yamaguchi
posted2026/05/11 06:03
同階級で世界を見据える現役選手からすると、井上尚弥と中谷潤人の世紀の一戦はただ「すごい試合」というだけではない意味を持つという
「ほんま、夢があります。僕が世界戦をした2016年、17年の頃は、まだ地上波のテレビ放送でしたし、あの頃では考えられない金額。周りの人に聞いても、額の開きがすごい。かつての相場なら、この年齢で世界チャンピオンになった時点で100%辞めていますよ。
いまはファイトマネーの規模が違うから考えますよね。ひと昔前なら3回、4回は防衛しないと、もらえなかった金額が1回目でもらえるんですよ。それは辞めにくいでしょ。負けを晒す可能性があっても、やろうかなって、思います」
以前はチケットを売るのもボクサーの仕事だった
10年前とは何もかもが違う。島津アリーナ京都で世界王座に初めて挑戦したのは2016年12月31日。圧倒的に不利の下馬評を覆し、当時無敗の王者だったジョナサン・グスマン(ドミニカ)に3-0の判定勝ちを収めた。ジムから支給されたファイトマネーは約1000万円分の入場チケット。後援会の協力を得ながら、すべて手売りで売りさばいた。
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17年9月の初防衛戦となった岩佐亮佑(セレス)戦も、待遇はほとんど同じ。このときも応援してくれる人たちにチケットを買ってもらった。そのためには、日頃から個人スポンサーとの付き合いを欠かさず、夜の会食にも顔を出す。時は流れても、小國は古くからの縁を大事にしており、根強いファンがずっと離れていない。ノンタイトルの試合でも、後楽園ホールをほとんど満員にする集客力を持っている。
「切符(チケット)を売るのもプロボクサーの仕事やと思ってるんで。僕らの時代は切符を売らないことには収入にならなかったんです。売れ残った切符は、ただの紙切れ。酒を飲んだら練習に影響すると言われるけど、それも仕事の一つ。確かに効率は悪い。でも、収入がないと、ボクシングは続けられないんで。後輩に『なんでそんなにチケットを売れるんですか?』と聞かれますけど、その分だけ人付き合いをしていますからね。いまはそのファイトマネーが現金でもらえる時代になっています。それが信じられなくて」

